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trending Badge Feed公開 2022年1月16日
写真の時系列変化からわかる緊迫したウクライナ情勢
Newsに提供された衛星画像と一連のソーシャルメディアの動画から、ロシアがウクライナとの国境で、軍事態勢を強化していることが分かった。

by Christopher Miller News Reporter
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Link 【ウクライナ・キエフ発】ウクライナ国境近くのソロチにあるロシア軍基地の衛星画像を比べると、3カ月にわたる軍拡の様子がわかる。

Satellite image 2021 Maxar Technologies

Satellite image 2021 Maxar Technologies スライド 左: ウクライナ国境近くにあるソロチに駐留するロシア軍。画面にある垂直線を左から右に移動させると、同じ場所の時系列での変化がわかる。2021年9月7日撮影。 右: 12月5日撮影。 Satellite image 2021 Maxar Technologies 2021年12月初旬、ウクライナ国境に向かうロシア軍とその物資を捉えた動画がソーシャルメディアに投稿された。戦車や威圧するような自走砲に、ロシアの地対空ミサイルシステム「ブーク」。2014年にウクライナ東部上空で、マレーシア航空17便を追撃したのと同型のものだ。数千人の軍隊まで確認できるが、これはほんの一部に過ぎない。
IgorGirkin @GirkinGirkin ... там же 04:54 AM - 12 Dec 2021 返信 リツイート お気に入り Twitter: @GirkinGirkin 西側諸国とウクライナの情報機関は、およそ10万人の軍隊と戦闘機、弾道ミサイルがすでに配備されていると推定している。
情報機関によると、兵士の数は17万5000人にまで増える可能性があるという。ウクライナにすぐ近い場所で行われているこうした配備は、言葉による脅迫行為や戦争ゲームと相まって、東欧の平和にとって良い兆候とはいえない。これらは、ロシアが再び、大規模かつ多面的なウクライナへの侵攻を開始する準備をしているという不吉な兆しなのかもしれない。

Omersukrugoksu / Getty Images クリミア半島(Crimea)の位置関係。ウクライナ(黄緑色)の右隣がロシア(緑色)。 ウクライナは旧ソ連の一部だったが、30年前に独立して以来、ロシア政府からどんどん離れ、西側民主主義世界に向かいつつある。そうした同国への支配権を取り戻そうとする侵攻だ。侵攻が起これば、第二次世界大戦以来、ヨーロッパで最大かつ最も血を流すような戦争へと拡大する可能性があると、専門家は警告している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の危険な瀬戸際外交は、すでに1万4000人以上が死亡した約8年にわたるウクライナでの紛争に、米国と西欧の同盟国、そしてNATOをさらに深く引きずり込む危険性をはらんでいる。プーチン大統領は12月中旬、ウクライナのNATO加盟への道を開いた2008年の取り決めを撤回することを望むと述べた。 Newsがマクサー・テクノロジーズ(Maxar Technologies)社から入手し、軍事専門家が分析した最近の衛星画像には、ウクライナ国境から約48キロ(30マイル)離れたロシア南西部の戦略拠点ソロチ、ロシア政府が2014年にウクライナから力ずくで奪ったクリミア半島南部にあるオプークにおいて、こうした新しい部隊の一部と見られるものが写っている。

Satellite image 2021 Maxar Technologies

Satellite image 2021 Maxar Technologies スライド 左: ソロチのロシア軍、拡大画像。2021年9月7日撮影。 右: 同じ場所で、12月5日撮影。 Satellite image 2021 Maxar Technologies ロシア軍は12月第2週の週末、1500人の兵士が参加する戦車による実弾演習をそうした地域で行った。ロシア連邦保安庁(FSB)は、ウクライナが「挑発行為」を行ったとして、アゾフ海でウクライナ海軍艦艇の航行を妨害した。プーチン大統領とクレムリン、国営メディアは揃って、より好戦的な発言を行った。
「軍拡の動きが見られる」と複数のアナリストがコメント
米国政府の国家安全保障担当顧問であるジェイク・サリバン氏は12月中旬、記者団に対し、プーチン大統領は、再び大規模なウクライナ侵攻を行うかどうかについて、まだ決定していないようだと述べた。しかし、米国の情報機関や軍事アナリストは、プーチン大統領がウクライナ侵攻を決断した場合に備えて、十分な数のロシア軍がすでに配置されていると警告する。

AFP=時事 プーチン大統領。12月10日撮影。 キングス・カレッジ・ロンドンの戦争学学部博士過程で、ロシア軍事を専門に研究しているロブ・リー氏は Newsに対し、次のように語った。「ロシアがウクライナから軍を遠ざけている兆候はない。一方で、ウクライナとの国境付近に地上軍を増派し続けているという証拠はある」「ウクライナでの軍事行動へとエスカレートしなくとも、ロシアが当面、ウクライナ付近の軍事態勢強化を維持するつもりだと考えられる」 Newsは、マクサー・テクノロジーズ社の画像分析を、ロシアとベラルーシを専門とする防衛アナリストのコンラッド・ムジカ氏に依頼した。ムジカ氏は、ロシア軍が歩兵部隊の一つである「第3自動車化狙撃師団」に新連隊を創設していると話す。ムジカ氏によると、衛星画像で見られたソロチでの兵員と装備の増加の大部分は、この連隊によるものだと見込んでいる。
12月5日の衛星写真でも増備が確認されている。これは、ジョー・バイデン大統領がプーチン大統領とオンライン会談を行う2日前のことだ。
また、ムジカ氏は、モスクワ北西にある都市バイの第22中央予備・整備戦車基地から引き揚げられたBMP-3M(ロシアの歩兵戦闘車)をベースに新連隊ができているという。
「同じ施設から、カリーニングラード第18自動車化狙撃師団の新しい自動車化狙撃連隊にBMP-3Mが納入された。11月中旬から12月上旬にかけて、合わせて約200台の新車両がソロチに現れたが、おそらくそのすべてがバイから来たわけではないだろう」
専門家「ロシアが紛争の準備をしている」とも

Satellite image 2021 Maxar Technologies クリミア半島オプークにあるロシア軍訓練エリアの全体像。11月26日撮影。 マクサー社のシニアディレクター、スティーブン・ウッド氏は Newsに対し、12月5日の画像に見られる最近増加した車両の一部は、ロシアが秋に行った大規模な地上演習に参加して戻ってきた部隊である可能性があると話した。ウッド氏によれば、オプークは「4月にロシア軍が大規模な部隊と装備を展開した地域のひとつ」だという。ほとんどの装備と部隊は、初夏までに訓練地域を離れたが、「11月26日の画像に見られるこの装備一式は、11月下旬にこの地域に新たに配備されたものだ」と話す。ムジカ氏は、これらの画像のなかで、ある気がかりな要素に気づいた。装備を収容するいくつかのテントが建っていた跡だ。この跡があるということは、こうした装備が基地から外に持ち出される必要がなくなったことを意味する。「新部隊を作るため、倉庫から装備を引き出している。これはロシアが紛争の準備をしていると示すと思う」とムジカ氏は語る。

Satellite image 2021 Maxar Technologies オプークにあるロシア軍の訓練エリアの拡大写真。11月26日撮影。
武力衝突の回避に向けた行動も
一方、新たな攻撃を回避するため、いちかばちかの外交交渉が行われている。バイデン米大統領は12月7日、プーチン大統領と行ったオンライン首脳会談で、ウクライナにさらに侵攻すれば深刻な結果に直面すると警告した。バイデン大統領は12月10日、上記のオンライン会談について語った際に、「私はプーチン大統領に対し、もし彼がウクライナで動けば、ロシア経済への影響は壊滅的なものになるだろうと明確に示した」と述べた。
バイデン政権は、ロシアの攻撃的な行動と、ウクライナへの新たな侵略の可能性を抑止するために、いくつかの選択肢を検討していると述べてきた。ウクライナ政府に対して、対戦車ミサイル「ジャベリン(Javelin)」などの軍事援助をさらに送る可能性があると述べており、防空システムを送る案も浮上している。バイデン大統領自身も、ロシアに対して厳しい制裁を加える用意があると述べているが、どの程度厳しいものになるかはまだわからない。

AFP=時事 ロシア南部ソチからオンラインで会談するプーチン大統領(右)とバイデン米大統領(モニター内)。12月7日撮影。 アントニー・ブリンケン米国務長官は12月12日、NBCテレビの報道番組「ミート・ザ・プレス(Meet the Press)」に出演し、「バイデン大統領がプーチン大統領に、私が(ロシアの)ラブロフ外相にはっきりと伝えたのは、ロシアにとって重大な結果をもたらすような、過去にない措置を検討しており、その用意があるということだ」と語った。
ブリンケン国務長官は、G7の外交官トップとの会合において、「同盟国も同様に、ロシアの侵略に立ち向かい、それを抑止・阻止したいという断固たる決意を持っている」と述べた。
ウクライナ、制裁と安全保障の支援を要請
バイデン大統領は12月9日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。二人は、ミンスク協定として知られるこう着状態の和平協定に関して、ロシアとの外交的な行き詰まりを打開しようとする方法について話した。また、ウクライナのゼレンスキー大統領はバイデン大統領に対して、制裁と安全保障の支援を積極的に行うよう促し、いま制裁を行い支援を送れば攻撃を食い止めることができると主張した。これは、会談内容を知るゼレンスキー大統領の顧問が Newsに語ったことだ。
ウクライナ軍の行動は「ロシアへの嫌悪」
状況が悪化する兆しがあるなかで、プーチン大統領はロシアのメディアに対し、ウクライナ東部におけるウクライナ軍の行動は、「ロシア・フォビア(ロシアへの嫌悪)」であり「大虐殺に喩えられる」と述べた。ロイター通信によると、プーチン大統領は、12月12日夜にロシア国営テレビで放映されたインタビュー番組で、ソ連邦の崩壊が「歴史的なロシア」の終えんにつながったと嘆いていたという。この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集: Japan
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